25着でオールシーズン着まわすメンズファッション

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ファッションはパラドクス!『人はなぜ服を着るのか/鷲田清一』

本・雑誌の紹介


この本は冒頭からこんな文章で始まります。

ファッションは「わたしはだれ?」という問いと戯れている。(ロラン・バルト)

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ファッション初心者がこれをいきなり読むことはどうなのだろうという気もしますが、 ファッションは一旦忘れて、評論文のノリで読んでみてはどうかと思います。

 
大学受験した人なら記憶があるかと思いますが、国語の現代文はだいたい、評論が問題文として出題されてましたよね。鷲田氏は、評論の問題文で出題されるよーなタイプの文章を書く著者です。
 
この本はそんなカンジの本です。と言ってしまうと、とたんに読みたくないという気分になってしまう人も多そうですね……。
 
しかし、つかみのどころのない「ファッション」というものを言葉でとらえるには、これくらい真摯な態度で向かうくらい気合いのある著者でないと難しいものがありそうです。
 
「ノーカラージャケットが今の気分♪」とか「デキる男は黒を着こなす!!」とか言われてもふわふわしてよくわからん、という人も多いのではないでしょうか。
 

ファッションにまつわる悩みの源泉 

ひとはどうしてそうしたセルフイメージの操作にやっきになるのだろうか。社会が都市化したからである。~略~ 都市に人口が流入し、じぶんがだれであるかを各人がじぶんで枠どらねばならなくなって、ひとはアイデンティティという鎧を必要とするようになった。 ~略~ つまり、じぶんは他人とどの点で違うのかを、じぶんで証明しなければならなくなった。
ファッションの悩みは大概、こういうところから来ているのではないでしょうか。 昔は、服装がそのままその人の身分や出自を示していた。
 
今は都市化して、均一化しているので、自分というものを自分でデザインして周りに示す必要がでてきたということです。
 
こちらの本でも著者はファッションと、自分とは何者かという問題を鏡のようにして悩んでいたわけですよね。
 

哲学の得意技は、「自分とは何か」にアプローチすることです。だからこそファッションと自我ということを知るためには、哲学者である鷲田氏の本は最適なのかもな、とも思います。

 

ファッションはパラドクス! 

この本ではファッションが語られるたび、逆説的な表現が出てきます。  
“モードとは、無秩序に変えられるためにある秩序である”(ロラン・バルト) 
 
“モードはこうして、≪みずからせっかく豪奢につくり上げた意味を裏切ることを唯一の目的とする意味体系≫というぜいたくな逆説をたくらむのだ” (ロラン・バルト) 
※著者は「モード」をファッションの狭義ととらえています。  
パラドクシカルにきこえるかもしれないが、ファッションはなにが流行るかになんの関心ももっていない。~略~ファッションという領域においては、ものはよいから流行るのではなく、流行っているからよいのである。こういう無条件の強制力が、ファッションという現象に本質的である。
 
男性が女性のファッションの流行を不思議に思って、なぜそんなものを着るのかと尋ねるシーンはよくあるかと思います。
 
しかし、納得できる理由を得られた人、ほとんどいないんじゃないでしょうか。「だってそういう気分なんだも~ん♪」「だってカワイイじゃん」という一言で、説明終了。
 
でも、しょうがないですよね。「ものはよいから流行るのではなく、流行っているからよい」ですから。根拠なんて、なんもないんです。 こうして見てみると、女性の方がファッションに親和性があることが納得。
 
逆説を含むようなものでも、感覚的によいとおもったら気にせず受け入れるのが女性。 一方、男性は、いちいち根拠を求めたがる。答えが出ないと動けない。
 
しかし、ファッションに根拠なんてないわけですから、男性がファッションについて混乱する傾向があるのは当然かもしれませんね。
 
 
まっち

ファッションにまつわるなぞが解けるかも

ちょっと前まで流行の最先端でかっこよかったのに、気付けばダサくなっているというアイテムに出くわすと、不思議に感じるのですよね。
 
例えばの話、このブログで提案する少数精鋭アイテムに、クロックスは加えていません。理由は「世間に浸透しすぎてダサくなっている」から。
 
でも、そのクロックスもまだあまり流通していなかったころは、個人的にはおしゃれに見えました。クロックス自体のデザインは変わっていないのに。
 
カーディガンのプロデューサー巻きも、ちょっとまえまでダサさの象徴のような着こなしだったのが、突然かっこよい着こなしとして登場してきた。逆のパターンです。
 
かっこよさが極まった時、とたんにダサくなり、ダサさが極まると、とたんにかっこよくなる。
 
ファッションって不思議だなあと思うのですが、これもファッションの逆説性のひとつですよね。 それから、この本には、こんなくだりもあります。 

 

ファッションは結局は前のシーズンと異なるということにしか関心がない

 

 
 
Q:そのアイテムがかっこいいという理由を述べよ。 
A:前と違うから。
 
 …そんだけ?理由、前と違うってだけ?でもこれが本質だっていうんですから仕方がないのですっ。
 
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