アパレル接客の声かけタイミング~服を手に取った瞬間に声をかけられる謎を追え!?~

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客が商品を手に取った瞬間ドンピシャで声をかけてくる店員さん。結構多いと思うんですよね。若干、見張られてるみたいでコワイのですが、それだけ店員さんは客のことをよく観察しているということなのでしょう。

今回は洋服を手に取ったタイミングで店員さんが声をかけてくる謎について、考えてみようかと思います!

適切なタイミングの声かけとは?


一旦さ、店内をすわ~って一周させてもらってさ…二周目で聞いてほしいなぁ~!!!

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以下は、人材教育コンサルタントが作成したアパレル販売員用の評価シートです。

③上司の指示のもと、来店客の様子をつぶさに観察し、タイミングを計って声をかけている。
A:来店客の様子をつぶさに観察し、常に適切なタイミングで声をかけていた
A:主体的に観察や声かけに創意工夫を加えるなどの行動もみられた
B:来店客の様子を観察し、おおむね適切なタイミングで声をかけていた
B:来店客の様子の観察漏れや明らかに不適切なタイミングでの声かけはなく、業務上特段の支障はなかった
C:来店客の様子を観察せず、タイミングを計って声をかけることがあまりできていなかった
C:指示と異なったり、自分勝手な確認や声かけなど、問題行動があった

販売部門業務:一括印刷用 - 従業員教育コンサルタント 顧客数を増加させるための環境整備 イディアルシーク㈱

接客の技術をあげたい店員さんや評価がほしい店員さんは、もちろんA判定を狙うのでしょう。では、「来店客の様子をつぶさに観察し、常に適切なタイミングで声をかけていた」の、「適切なタイミング」とはなにか。

つまり、客が商品を手に取った瞬間ドンピシャで声をかけてくる店員は、「適切なタイミング」を客が洋服を手に取った瞬間だと考えている、と推測できるのではないでしょうか。

接客販売プロセスと声かけの適切なタイミング

商工会議所が実施するリテールマーケティング(販売士)検定。流通業界唯一の公的資格だそうです。

こちらの検定内容によると、販売員は顧客の心理状況に合わせた接客を行うことが重要だとされます。

接客販売プロセス

1.待機
販売員が売場で販売の準備を整えて、来店した顧客に近づき、声かけのチャンスを待つこと。

2.アプローチ
販売員が待機の体制から顧客に近づき、声をかけること。タイミングを見分ける能力が重要。

3. 商品提示
商品を使う状態にして見せ、手に触れさせ、商品の特徴を示すことで、顧客の連想力を高めさせ、購買への欲望を刺激する。

4. 商品説明
顧客の質問に応じて、または販売員から進んで商品の利用場面や使用方法などの具体的な説明を行う。

5. クロージング
顧客に商品の購買を決定させる手段。その際の褒め言葉は、顧客や時期になどによって異なる。

6. 金銭授受
顧客から販売代金を受け取る段階。

7. お見送り
販売員は出口まで商品を持参しお見送りする。顧客の買い物の満足度を高めることで、固定客化につなげる。

戦う商業高校生 リテールマーケティング戦隊 第7話「沈黙の顧客心理(サイコロジー)」 | 商工会議所の検定試験


声かけのタイミングは接客販売プロセスの2番目「アプローチ」に該当しますよね。販売士検定ではアプローチはどんなタイミングで指示されているかというと……。

アプローチのタイミングは次のとおりである。
①一つの商品をじっと見て考えているとき。
②顧客が眺めていた商品に手を触れたとき。
③顧客が足を止めて商品を見たとき。
④顧客が何か商品を探しているとき。

販売士検定3級重要過去問題傾向の分析と合格対策 - 山口正浩, 渡邉義一 - Google ブックス

「②顧客が眺めていた商品に手を触れたとき。」ありました!

これが商品を手に取った瞬間に声をかけてくる原因なのではないか。それに②だけじゃなく、確かに①③④のタイミングでも店員さんは声をかけてきますよね。基礎に忠実!

とはいえ、客側からすると「商品を手に取った瞬間」ってまだ声かけのタイミングとしては早い。

そこらへんに気を使っている店員さんもいるようです。

手に取った瞬間にすかさず声をかけると逆効果なので、お客様が商品を手に取ってから、心のなかで3~5秒程度の深呼吸を。「手に取ってすぐ」ではなく、「手に取って3秒してから声をかける」ことを心がけると、お客様の反応も柔らかくなるといいます。

ECサイトでも効きそう...普通の販売員が言うけれど、「売れる販売員」なら使わない言葉 | ライフハッカー[日本版]

「手に取った瞬間にすかさず声をかけると逆効果」ということは把握しているようだが、正直、3秒でもまだ早いかも。

消費者の購買心理過程

広告宣伝に対する消費者の心理のプロセス「AIDMA(アイドマ)」。消費者は以下のような気持ちの変化を経て物を買うとされています。

Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

AIDMA - Wikipedia

販売士検定に、「購買心理過程の8段階」というものがありまして、こちらも同じような概念のようです。

購買心理過程の8段階

1.注目:顧客が関心を持って商品や売り場を見る段階。
2.興味:商品の色やデザイン、価格などに興味を持つ段階。
3.連想:自分や家族などがその商品を実際に使用する場面や使用後の状態を連想する段階。
4.欲望:その商品が欲しいという購買意欲が高まる段階。
5.比較・検討:いったん冷静になって他の商品と比較・検討する段階。
6.信頼・確信:この商品を購入しても大丈夫だろうと信頼する段階。
7.決定・行動:購買の意思を伝えて代金を支払う段階。
8.満足:購入後、商品および買い物への満足感を抱く段階。

戦う商業高校生 リテールマーケティング戦隊 第7話「沈黙の顧客心理(サイコロジー)」 | 商工会議所の検定試験


ところで、購買心理過程の8段階のどこで、「アプローチ」がなされるのが適切とされているのか。

「興味」段階から、自分がその商品を使っている(例えばケーキを味わっている)場を「連想」し始める段階に移る時が最適とされています。

お客さまを快くお迎えし、満足していただく接客を | 中野区公式ホームページ


お客様が商品に注目し、興味を示し始めたらアプローチをします(中略)興味から連想に移るあたりなどがアプローチのチャンスです。

あきんどPLAZAメールマガジンVol.22


顧客が興味をもって足を止め、商品を手にしたときはアプローチのチャンスです。(中略)顧客が興味を示し、連想を抱いたときは顧客ニーズを聞き出す質問をするチャンスです。

販売士教科書 販売士3級 一発合格テキスト 問題集 第2版 - 海光 歩 - Google ブックス

どうも、適切なタイミングというのは購買心理過程の8段階「興味」から「連想」に移る間あたりとされているようです。

でも、商品を手に取った瞬間って「興味から連想に移る間」とは言えないはず。商品を手にとる瞬間はまだ興味の段階なのでは。

まだなにも連想できていない、欲しいという気持ちもないという段階で声をかけられても、「売りつけられそう」という警戒心が出てきてしまって逆効果だと思うのですよね……。

購買心理過程の8段階のひとつに「信頼」がありますが、声かけのタイミングを間違うことで信頼をそこなうのではないかなと。

とりあえず、洋服屋の店員さんから、商品を手に取った瞬間に声をかけられる理由について私なりの推測は以下のとおり。

・接客販売プロセスの「アプローチ」のタイミングに「顧客が眺めていた商品に手を触れたとき」という指定がある。
・アプローチの適切なタイミングが、購買心理過程の「興味」から「連想」に移る間あたりとされている。
・「興味」から「連想」に移る間と「アプローチ」の段階についての理解が、店員さんによってまちまちの可能性がある。


あと、アプローチのタイミングの理解が店員さんによってまちまちということではなく、店員同士の競争も理由になっているかもしれません。

他の店員より早く客を確保したいから、タイミングが前倒しになるとか。だとしたら、客には関係ない話で、客が置いてけぼりになってます。

洋服屋の店員が声をかけてくるのがウザイと感じるのは、店員が客のニーズを適切に満たすことができないことも原因だと思いますが、声をかけるタイミングも大きな原因となっているのかもしれませんね。

the.the25-item.com

まとめ

商品を手に取った瞬間に、店員さんから声をかけられることに違和感がある客は多いのではないかと思います。

もっとツワモノだと、店に入った瞬間に「何かお探しですか」と声をかけてくる店員さん、いますよね。まだ注目の段階にもない。

欲しい時に来ない…欲しくない時に来る…店員って生き物と気が合わない!!!裏目裏目のシーソーゲーム!!!

【漫画】裸の王様vsアパレル店員 第二話 | オモコロ


洋服屋における服屋が苦手な客と店員、いつになったらすれ違いがなくなり信頼関係が生まれるのでしょうかね……。